RugCheck、SolSniffer、Bubblemaps:どれが何を見ているか
トークン診断ツールは3つとも別のものを見ています。何を見ていて、何を見ていないのかを分けて説明します。

3つは別のものを見ている
この3つはまとめて「トークン診断ツール」と呼ばれますが、実際に見ている層が違います。混ぜて使うと便利で、片方だけを見て安心すると危険です。
おおまかに言うと、RugCheckとSolSnifferはトークンの設定を見ます。権限が残っているか、流動性がロックされているか、供給量がどう配分されているか。Bubblemapsはウォレット同士の関係を見ます。誰と誰が資金でつながっているか。
この違いが実務で効く例を1つ。保有者が200人いて、上位ウォレットが供給量の3%ずつしか持っていないトークンがあるとします。設定を見るツールは、これを健全な分布と判定します。ところが200人のうち150人が同じ1つのウォレットから資金を受け取っていたら、実態は1人です。この差は、関係を見るツールでしか出ません。
それぞれが確認する項目
| 項目 | RugCheck | SolSniffer | Bubblemaps |
|---|---|---|---|
| ミント権限の有無 | ✓ | ✓ | ✗ |
| フリーズ権限の有無 | ✓ | ✓ | ✗ |
| 流動性のロック状況 | ✓ | ✓ | ✗ |
| 上位保有者の集中度 | ✓ | ✓ | ✓ |
| ウォレット間の資金の流れ | ✗ | ✗ | ✓ |
| 総合スコア | ✓ | ✓ | ✗ |
表の下2行が、この記事の要点です。総合スコアを出す2つは関係を見ておらず、関係を見る1つはスコアを出しません。
スコアをどう読むか
スコアは判定ではありません。ここは強調しておきます。スコアが見ているのは、その時点でオンチェーンに書かれている設定です。
緑のスコアが意味するのは「既知の罠は見つからなかった」であって、「安全」ではありません。作成者が権限をきれいに放棄したあとで、別の方法で価格を操作することはできます。新しい手口は、スキャナーのルールより先に出てきます。
逆に、赤いスコアはかなり信頼できます。フリーズ権限が残っていると出ているなら、それは実際に残っています。この非対称性が使い方を決めます。赤は避ける理由として十分で、緑は買う理由にはなりません。
実際の確認手順
3つを順番に使うのが、いちばん漏れが少ない使い方です。
1. 設定を見る。RugCheckかSolSnifferで、権限と流動性ロックを確認します。ここで赤が出たら終わりです。
2. 分布を見る。上位ウォレットが供給量のどれだけを持っているかを確認します。J Toolsの保有者スナップショットなら、上位100件から10,000件まで深さを選んで一覧を取り、Excelに書き出せます。読み方は保有者分布の読み方にあります。
3. 関係を見る。Bubblemapsか、J ToolsのJ Mapのトークン関係図で、上位保有者が互いにつながっていないかを確認します。ここで「200人が実は1人」という構造が出ます。
4. 個別のウォレットを追う。怪しいクラスタが見つかったら、Wallet Scope のウォレット分析でそのウォレット群の残高、保有、取引をまとめて読みます。
どのツールも見ないもの
ここが最も重要な節です。3つとも見ないものがあります。
- これから起きること。すべてのツールは現在の状態を見ています。ロックされた流動性には解除日があり、その日に何が起きるかは誰も判定しません。
- チームの実在。匿名の開発者と実名の開発者を、オンチェーンのデータは区別しません。
- 取引所やCEXの外にある情報。SNSでの約束、ロードマップ、提携の発表。どれもチェーン上にはありません。
- 売れるかどうかの実地確認。設定上は売れるはずでも、実際に売れるかは試すまでわかりません。少額の売り戻しは、どのスキャナーの代わりにもなります。ハニーポットトークンの見分け方に手順を書きました。
スコアが割れたときの読み方
同じトークンをRugCheckとSolSnifferに入れて、判定が違うことがあります。バグではなく、重みづけが違うだけです。
各ツールは複数の項目を独自の配点で足し合わせています。片方が流動性ロックを重く見て、もう片方が保有者の集中を重く見ていれば、同じ材料から違う合計が出ます。どちらが正しいという問題ではありません。
やるべきことは、合計点を比べるのをやめて、内訳を開くことです。両方のツールが同じ項目について同じ事実を報告しているなら、その事実は確かです。項目ごとに見れば、判定の差はほぼ消えます。
内訳を見て、それでも判断がつかないなら、それは「情報が足りない」という結論です。無理に片方を信じる必要はありません。
ロック解除日という盲点
流動性がロックされていると表示されていても、ロックには期限があります。ここを見落とすと、確認したこと自体が誤った安心になります。
ロックの意味は「今は抜けない」であって「永久に抜けない」ではありません。解除日が1週間後なら、その日にプールが空になる可能性は、ロックされていない場合とほとんど変わりません。
永久にロックしたい場合、実務ではLPトークンをバーンします。焼いてしまえば誰も引き出せません。この3つの選択肢の違いはLPトークンをバーンするかロックするか保有するかで扱っています。
スキャナーの表示を見るときは、ロックされているかどうかだけでなく、いつまでかを確認してください。表示されていないなら、それは確認できていないということです。
結局どう使うか
スキャナーは最初のふるいです。数秒で明らかな罠を落とせるので、価値はあります。ただしそこで止めないでください。
設定を見るツールで赤を落とし、分布で偏りを見て、関係でつながりを見る。この3段階を通ったトークンでも、注目が離れれば価格はゼロに向かいます。ツールが判定しているのは詐欺の有無であって、価値の有無ではありません。
この記事は投資助言ではありません。ここに書いた手順は罠の大半を弾きますが、すべてではありません。


