Solanaトークンの供給量戦略:固定型、デフレ型、追加発行型
供給量の決まりは作成時にチェーンへ書き込まれます。固定型、デフレ型、追加発行型の違いと、権限を放棄する順番をまとめました。

トークンの供給量は、プロジェクトにいちばん長くついて回る決定です。名前もロゴもあとで変えられ、流動性も移せます。供給量の決まりだけは、あとから直せません。
誰が新しいトークンを作れるか、どう流通から消えるか、1枚をどこまで細かく割れるか。この三つは、作成した時点でチェーンに書き込まれます。
供給量でのつまずき方は、だいたい次の三つです。
- 供給量が大きすぎて、1枚の価格に意味がない。
- ローンチ後もミント権限(新しいトークンを作る許可)が生きていて、流通量が信用されない。
- 「デフレ」が約束だけで、チェーン上で強制する仕組みがない。
供給量戦略を発行前に決める理由
チェーン上の供給量は、小数点桁数で拡大された整数です。10億枚を9桁で作れば、中身は10億×10億の最小単位になります。桁数が、売り買いできる最小の一片を決めます。
小数点桁数は作成後に変えられず、ミント権限を放棄しないかぎり上限もかけられません。転送手数料も作成時にしか設定できません。バーンだけは、どのトークンでもいつでもできます。
ミント権限の放棄は一方通行です。放棄すれば、あなたを含めて誰も1枚も追加で作れません。先にdevnetで試してください。
固定型:上限が決まっている供給量
固定型には、はっきりした上限があり、生きたミント権限がありません。最初にミントした量がすべてです。限定版の印刷で、最後の1部を刷ったら版を壊すのに似ています。
典型例はBitcoinの2,100万枚という上限です。Solanaのミームコインやコミュニティトークンの多くは、全量を一度でミントし、流動性を入れてからミント権限を放棄します。上限は誰でもブロックエクスプローラーで確かめられます。
逆に、SolanaのUSDCは発行元がチェーン外の準備資産に合わせてミントする追加発行型です。固定型が向くのは、希少性が物語の中心にあるトークン(ミームコイン、コレクティブル、ファントークン)で、ガバナンスの手間を避け、配分をチェーン上で証明したいときです。
落とし穴は、流動性を入れたまま放棄を何週間も忘れることです。そのあいだエクスプローラーにはミント権限が生きたまま表示され、買い手は離れます。最初のミントが済んだら、すぐに放棄してください。
Solanaトークン作成ツールは、作成と同時にミント権限とフリーズ権限の放棄、変更不可まで済ませます。既存のトークンはミント権限を無効にするツールで切り、トークンを変更不可にするツールで名前とシンボルと画像を固定します。各権限はトークンの権限を放棄する手順で解説しています。

デフレ型:バーンと転送手数料で供給量を減らす
デフレ型では、二つの仕組みで供給量が減っていきます。互いの代わりにはなりません。
一つ目はバーンです。ウォレットやプログラム、コミュニティの決定で、供給の一部を永久に消します。BONKも大規模なコミュニティバーンを行ってきました。数量はトランザクションに残り、総供給量はその分だけ減ります。実行はトークンをバーンするツールで、仕組みはSolanaでトークンをバーンする方法で解説しています。
二つ目はToken-2022の転送手数料です。送金のたびに一定の割合が保留されます(Solana公式のトークン拡張の一覧)。保留分は受け取り側のトークンアカウントにたまり、ミントへ回収でき、手数料の引き出し権限を持つウォレットが引き出します。
その分を公開した予定どおりにバーンすれば、取引量がデフレに変わります。買い戻しやトレジャリーにも回せます。手数料はToken-2022作成ツールで作成時に設定し、規則はSolana公式の転送手数料の解説にあります。
手数料は1%以下に抑え、実際のバーン予定を公開します。高い手数料は取引を遠ざけ、取引のないトークンの手数料は何もバーンしません。上限を超える希少性がほしく、送金量があり、手数料ウォレットの使い道を公開できるならデフレ型です。
転送手数料は、流動性の追加や引き出しを含むすべての送金にかかります。Token-2022に対応しないプールの種類やルーターもあるので、使うDEXとプールの種類をローンチ前に確認してください。規格の違いはToken-2022とSPLトークンの違いにあります。
追加発行型:ミント権限を残す供給量
追加発行型は、ミント権限を生かしたままにします。持ち主はウォレット、マルチシグの金庫、プログラムのどれかです。USDC、USDT、PYUSDの発行元は、準備資産にお金が入るとミントし、出ていくとバーンします。多くのガバナンストークンも同じ形です。
チェーン外の資産と引き換えられるトークン、ステーキング報酬やプログラムでの配布が要るトークン、金融政策を投票で決めるトークンに向きます。
ミント権限を持つ人は、保有者全員の持ち分を薄められます。ホットウォレット一つに持たせるのは弱点です。最低でも複数の署名が要るマルチシグの金庫(たとえばSquadsで5人中3人)、できればミントの規則を保有者が監査できるプログラムに持たせます。
権限を残すなら、そのアドレスかプログラムのIDを公開してください。

どの型を選ぶか
| プロジェクトの種類 | 向いている型 | 理由 |
|---|---|---|
| ミームコイン、コミュニティトークン | 固定型 | 希少性がすべて。ミントとフリーズの権限はすぐ放棄する |
| 取引量のあるゲーム、ユーティリティトークン | デフレ型(Token-2022の手数料とバーン) | 手数料が利用を希少性に変える |
| ステーブルコイン、ラップ資産 | 追加発行型(マルチシグかプログラム) | 供給量がチェーン外の準備資産に連動する |
| ステーキングのあるガバナンストークン | 追加発行型(プログラム管理) | 配布に生きた権限が要る |
| ポイントやロイヤリティのトークン | 追加発行型(発行元のウォレット) | 利用に応じて発行元が作る |
Solanaで実際に進める手順
小数点桁数。ステーブルコインもミームコインも含め、ほぼすべてのトークンは6で足ります。9はSOLに紐づくトークン、BONKは5、0は1枚単位のトークン向けです。変更できないので、Solanaトークンの小数点桁数の決め方も確認してください。
総供給量。作成ツールには1枚から1兆枚まで入力できます。10億や100億のような切りのいい数字は意図が伝わり、847,392,141のような数字は雑に見えます。
三つの権限。ミント権限の放棄は上限を固め、固定型には欠かせません。フリーズ権限の放棄は保有者のトークンアカウントをフリーズする力をなくし、上場先やルーターもここを確認します。変更不可は名前、シンボル、画像を固定します。
順番も大事です。全量をミントし、流動性とトレジャリーへ送ってから放棄します。先に放棄すると、プールに入れる分をもう作れません。流動性の入れ方はRaydiumで流動性プールを作る手順にあります。
配布後はトークン保有者のスナップショットで保有者を分類し、集中度を見て、一覧を書き出せます。エアドロップ、ベスティングの監査、あとから配る報酬の出発点です。
流動性を入れる前のチェックリストです。
- 小数点桁数を決めた(変更できない)。
- 総供給量をミントし、流動性、トレジャリー、チームのベスティング、コミュニティへ配分した。
- ミント権限を放棄した(残すなら公開したマルチシグで持つ)。
- フリーズ権限を放棄した(ほぼ必ず)。
- ブランドが決まっていれば変更不可にした。
- 最初の取引の前にトークンのアドレスを公開した。
供給量戦略は10分ほどの話し合いで決まり、最初の1時間でトークンが本気に見えるかを左右します。まずdevnetで状態を確かめ、必要な権限だけを残してmainnetへ進みます。時価総額と完全希薄化後の評価額の違いは時価総額の意味と計算方法にあります。
供給量についてよくある質問
Solanaでデフレ型のトークンを作るには?
自動でデフレにするなら、Token-2022で1%以下の転送手数料をつけ、手数料を自分のウォレットへ向けます。引き出した分の使い道を決め、予定を公開します。手動なら供給を直接バーンします。ミント権限を放棄すれば、供給量は減る方向にしか動きません。
固定型、デフレ型、追加発行型はどれが良いですか?
トークンの役目で決まります。供給量は固定型なら横ばい、デフレ型なら減るだけ、追加発行型なら権限の持ち主しだいで増減します。追加発行型は、ステーブルコインでは信用の印、ミームコインでは危険信号です。放棄も小数点桁数もバーンも戻せず、転送手数料はあとから足せません。
デフレ型トークンにはどんな例がありますか?
BONKのコミュニティバーン、手数料を予定どおりバーンするToken-2022のトークン、買い戻してバーンするトレジャリーです。ホワイトペーパーの言葉ではなく、チェーン上のバーンや手数料の規則が供給を減らしています。
ローンチ後に供給量を変えられますか?
増やせるのは、ミント権限が生きているあいだだけです。保有者はいつでも自分の分をバーンでき、転送手数料はあとから足せません。
小数点桁数はあとから変えられますか?
変えられません。作成時に固定され、変更する命令がありません。


