エアドロップ費用の内訳と抑え方:Solanaで大量配布する前に
Solanaのエアドロップ費用は、アカウントのデポジット、ネットワーク手数料、プラットフォーム手数料の三つ。何で増え、何を減らせるかを説明します。

プッシュ型のエアドロップでは、受け取る側は署名も支払いもしません。エアドロップ費用を払うのは送り手だけです。
費用の多くはツールの手数料ではなく、ネットワークの決まりから生じます。新しく開くトークンアカウント一つごとにデポジットが要ります。本記事ではエアドロップ費用を三つに分け、送り手が減らせる部分を示します。エアドロップの仕組みと受け取る側の注意点はエアドロップの仕組みと詐欺の見分け方へ。
エアドロップ費用を小さくする三つの条件
安いエアドロップとは、新規のトークンアカウントが少なく、送金をまとめ、同じ受取人にプラットフォーム手数料を二度払わないものです。
エアドロップ費用を式にすると、出ていく額=アカウントのない受取人ごとのデポジット+取引ごとのネットワーク手数料+届いた受取人ごとのプラットフォーム手数料です。
マルチ送信の「実行概要」には、署名の前にこの三つがその時点の額で並びます。
エアドロップ費用を作る三つの項目

アカウントレント:新しいトークンアカウントのデポジット
トークンを入れるトークンアカウントは、ウォレットとトークンの組ごとに一つです。受取人にまだなければ送り手が代わりに開き、データ保存用の返金可能な最低残高を預けます。一般にレントと呼ばれ、マルチ送信の概要では「アカウントレント」の行です。Solanaの公式ドキュメントのとおり、支払い者は受取人の代わりにこのアカウントを作れます。
返金可能でも、戻る先は送り手ではありません。空のアカウントを閉じる所有者が署名して行き先を選び、作成時に払ったウォレットへ自動では戻りません。
額はネットワークがアカウントの大きさから決め、固定ではありません(公式ドキュメントも固定値を使わないよう勧めています)。Token-2022のアカウントは必要な拡張(転送手数料の欄など)のぶん大きく、通常のSPLトークンのアカウントより高いデポジットがかかります。そのトークンのアカウントを既に持つ受取人には、デポジットはかかりません。
ネットワーク手数料:受取人ごとではなく取引ごと
どの取引にも、署名ごとの基本手数料と優先手数料からなるネットワーク手数料がかかります。マルチ送信は優先手数料を設定したうえで一つの取引に複数の送金を詰めるので、受取人一人あたりの負担はデポジット一つのごく一部です。優先手数料の決まり方はSolanaの優先手数料の解説へ。
プラットフォーム手数料:届いた受取人の分だけ
プラットフォーム手数料は受取人ごとで、額は署名前に概要に表示されます。画面の説明どおり「プラットフォーム手数料は、送金が届いた受取人の分だけかかります」。
新規アカウントのデポジットは、送り手から見れば戻らないお金です。ただし手数料ではなく、受取人のアカウントに預けられた返金可能なデポジットで、通常のトークンアカウントを開く限り、どのツールでも省けません。
リストの中身でエアドロップ費用はどう変わるか
| 項目 | アカウントのない受取人 | 同じトークンの保有者 |
|---|---|---|
| デポジット(アカウントレント) | 一人に一つ | なし |
| ネットワーク手数料 | 取引単位(複数人で共有) | 取引単位(複数人で共有) |
| プラットフォーム手数料 | 届いた受取人ごと | 届いた受取人ごと |
新規ウォレットのリストと今の保有者のリストの差は、すべてデポジットです。一人あたりのトークンの量はどの項目も変えず、均等、ランダム、パーセンテージのどのモードでもSOLの支払いは同じです。だからエアドロップ費用を削る近道は、新規アカウントを減らすことです。
マルチ送信でエアドロップ費用を確かめながら送る
- リストを用意する。保有者スナップショットはExcelで書き出すので、ウォレットの列をコピーして貼り付けるか、その列をCSVで保存します。CSV、TXT、JSON、TSVの一覧や貼り付けも使え、取り込むのはアドレスだけです。
- ウォレットを接続する。要るのは受取人の公開アドレスだけで、シードフレーズや秘密鍵は誰にも渡してはいけません。
- 量をページで決める。「均等」は総量を等分し、「ランダム」は各行に最小と最大の間の量を割り当て、「パーセンテージ」は最小と最大の間のランダムな比率で総量を分けます。行への直接入力もできます。
- リストを整える。無効、重複、自分のアドレスの行には印が付き、「リストを整理」で片付けるまで送信は始まりません。一つのリストで同じウォレットに二度払うことはありません。
- 概要を読む。プラットフォーム手数料、取引数つきのネットワーク手数料、「ウォレットでの承認回数」、新しい受信者の数つきの「アカウントレント」、「ウォレットからの合計支出」が並びます。これはエアドロップ費用の見積もりです。
- 1回の承認で送る。署名は、ブラウザのタブ内に作られる使い切りの送信用ウォレットへ資金を送る取引一つだけです。そのウォレットが全バッチを送り、自らのトークンアカウントのデポジットも含めた残りをあなたに戻します。終わるまでタブは閉じないでください。
転送手数料か転送フックを持つToken-2022のトークンは、この流れを使わず取引ごとに承認します。転送手数料は受取人が受け取る量から差し引かれ、マルチ送信は上乗せしません(タックストークンの手数料の仕組み)。
初回は、自分の数件のアドレスへ少量を送って流れを確かめてください。j.toolsのツールはメインネット専用なので、これも本番の送金です。
エアドロップ費用を安くする方法

- 同じトークンの追加配布は今の保有者へ。保有者にはもうアカウントがあり、デポジットは不要です。一覧は保有者スナップショットで取れます。ただし新しいトークンに保有者はおらず、アカウントを閉じた保有者には新規作成が要ります。
- 人のいないアドレスを外す。プール、取引所、プログラム所有のアドレス、バーンアドレスは有効でも人ではなく、一つごとにプラットフォーム手数料、新規ならデポジットもかかります。スナップショットの「流動性」「CEX」「バーン」「コントラクト」が手がかりです(保有者分布の読み方)。
- つながりと新しさを確かめる。Wallet Scopeの分析は、ウォレットに取引所、プール、新規などの印を付け、資金の出どころをたどります。資金提供者が同じウォレットはクラスターで示され、取引所からの資金は別扱いです。共通の資金提供者も新しさも手がかりで、証拠ではありません。
- まとめて送る。一件ずつ送れば、取引の数だけネットワーク手数料がかかります。
- 中断後に全体を送り直さない。貼り直したリストは、受取済みの分も含めてそのまま送られます。届いた分を確かめ、同じ実行の「失敗を再試行」で失敗した行だけを送れば、課金もその分だけです。
通常のトークンアカウント以外:圧縮トークン
ZK Compressionの圧縮トークンは、デポジット不要の圧縮アカウントに残高を置くため、エアドロップ費用から受取人ごとのデポジットを外せます(ZK Compressionの圧縮トークン解説)。代わりに受取人のウォレットの対応が必要で、ドキュメントはPhantomとBackpackを挙げています。圧縮を解いて通常のトークンアカウントに移すには、そのアカウントとデポジットが要ります。j.toolsは圧縮トークンを送りません。
エアドロップ費用のよくある質問
新しいトークンアカウントのデポジットは誰が払い、戻ってきますか?
プッシュ型では送り手です。返金を受けるのは空のアカウントを閉じた人で、閉じるかは受取人が決めます。閉じるにはアカウントの閉鎖を使います。
一人に送るトークンを増やすと、SOLの費用も増えますか?
増えません。エアドロップ費用の三つの項目は、どれも量に左右されません。Token-2022の転送手数料は、送ったトークンから差し引かれます。
受取人に自分のトークンアカウントの費用を払ってもらえますか?
受取人が自分で作る場合だけです。クレーム型の配布ではふつう、受取人が署名したクレームの取引がアカウントを開き、デポジットとネットワーク手数料も本人持ちです(プロジェクトが払う設計もあります)。プッシュ型では必ず送り手の負担です。偽エアドロップはクレームのリンクを入口にすることもあります。
なぜエアドロップで使う額より多いSOLをウォレットで承認するのですか?
1回の承認で、デポジット、手数料、少しの余裕を使い切りの送信用ウォレットに入れるからです。使われなかった分は、送信後に戻ります。
途中で止まった送信の費用はどうなりますか?
プラットフォーム手数料は届いた受取人の分だけです。タブが閉じても、数分後に同じブラウザでツールを開き直せば残りは戻ります。ただ、未送信の行が自動で送られることはなく、全リストを貼り直せば受取済みのウォレットにも再び送金と課金が起きます。同じ実行の「失敗を再試行」を使ってください。
実在の人だけのリストをまとめて送り、署名の前に概要を読む。通常のエアドロップ費用を抑える手は、これで出そろいます。


